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LESSON 01 / 基礎編

ネットワークの構成要素

LAN・WAN・インターネットの違いから、各種ネットワーク機器の役割、Wi-Fi/有線LAN、ISPによる接続、伝送速度まで。ネットワークの「全体像」と「部品」を把握する。

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学習目標

本講を終えると、以下の問いに答えられるようになる。

本講ではネットワークの「構成要素(パーツ)」を確認する。データが どのように運ばれるか(パケット交換)は次回、どのような言葉でやり取りするか(プロトコル)は第3回で扱う。

このレッスンの目次

01 インターネットとは 「ネットワークのネットワーク」とは何か 02 LAN と WAN ネットワークの規模による分類 03 ネットワーク機器 ルータ・ハブ・スイッチ・APの役割 04 有線LAN LANケーブルとスター型などの接続のかたち 05 無線LAN(Wi-Fi) 電波で運ぶ仕組み・規格・周波数帯・暗号化 06 ISP インターネット接続を提供する事業者 07 伝送速度 bpsの意味と身近な目安 08 まとめと用語 本講で覚える用語を一覧で確認 09 確認問題 5問で理解度をチェック

インターネットとは

「Inter(相互に)」+「Net(ネットワーク)」 = 「ネットワーク同士を相互に接続したもの」。
家庭、学校、企業、データセンタなど、各所で運用されている小規模ネットワークが、ルータを介して接続された 巨大な集合体 がインターネットである。
POINT インターネット = 「ネットワークのネットワーク」。単一の組織が運営する集中管理型のシステムではなく、独立した多数のネットワークが相互接続された結果として成立する分散型のシステムである。
家庭のネットワーク 学校のネットワーク モバイルキャリア網 企業のネットワーク クラウドサービス データセンター 大学・研究機関網 海外企業のネットワーク 日本側 基幹網 ISP・IX・国内バックボーン アメリカ側 基幹網 ISP・IX・海外バックボーン 太平洋海底ケーブル 国際回線で日本とアメリカを接続 家庭の端末からクラウド上のサーバへデータが届き、応答が戻る

図の見方:家庭・学校・企業・モバイル網などの小さなネットワークが国内の基幹網へ接続され、日本側とアメリカ側の基幹網が太平洋海底ケーブルなどの国際回線で結ばれる。

考えてみよう:世界中のネットワークがつながっているから、私たちは日本にいながら海外のWebサイトやクラウド上の情報にもアクセスできる。インターネットは、世界中の小さなネットワークが協力して情報を届ける仕組みなんだね。

情報Iで覚えることインターネットは、世界中の小さなネットワークがルータを介して相互接続された「ネットワークのネットワーク」である。

ネットワークの規模 ― LAN と WAN

ネットワークは カバーする範囲(スケール) によって大きく2種類に分類される。

LAN — Local Area Network

狭い範囲のネットワーク。家庭、学校、オフィスなど、1つの建物や敷地内をカバーする。
多くの場合、所有者・管理者は単一の組織(家庭なら家、学校なら学校)。

WAN — Wide Area Network

広い範囲のネットワーク。市・県・国・大陸など、地理的に離れたLAN同士を結ぶ。
通常は通信事業者(キャリア)が回線を提供する。
LAN(家庭) 家の中・敷地内 PC スマホ PC ルータ WAN 通信事業者の広域網 LAN(会社) 会社の中・敷地内 ルータ PC PC サーバ サーバ アクセス回線 アクセス回線

図の見方:左右のLANは狭い管理範囲のネットワーク、中央のWANは離れたLAN同士を結ぶ広域ネットワークを表す。

家庭のWi-FiはLAN、それを支える光回線(NTTやKDDIなどの設備)はWANに含まれる。複数のLANがWANで結ばれ、世界中につながった結果がインターネットである。
情報Iで覚えることLAN は家庭・学校・会社など 狭い範囲 のネットワーク、WAN は離れた LAN 同士をつなぐ 広い範囲 のネットワーク。

ネットワーク機器の役割

LAN/WANの中では、用途の異なる複数の機器が連携してデータを転送している。代表的な4つを押さえる。

ルータ異なるネットワーク間の経路を決める
ハブ受け取ったデータを全員に流す
スイッチ宛先のポートだけに転送する
APWi-Fiと有線LANを橋渡し

ルータ — 宛先を見て次の経路を選ぶ

役割:異なるネットワーク同士を接続し、データに付いている 宛先IPアドレス を見て、次に送るべき出口を決める。ルータはただ横流しするのではなく、持っている 経路表 と宛先を照らし合わせ、「この宛先なら上の回線」「この宛先ならクラウド側」のように次の送り先を選ぶ。

ルータは「宛先IP」と「経路表」で出口を選ぶ 同じ入口から来たデータでも、宛先によって次の送り先が変わる 家庭LAN データ 宛先IP 203.0.113.25 ルータ 経路表を見る 経路表のイメージ 10.* → 学校側 203.0.113.* → クラウド側 198.51.100.* → 企業側 学校LAN 別の候補 クラウド 今回選ぶ経路 企業LAN 別の候補 太線: 選ばれた経路 / 点線: 今回は選ばれなかった候補

図の見方:ルータは入ってきたデータの宛先IPを見て、経路表の中から「次に渡す出口」を選ぶ。今回の宛先は 203.0.113.* なので、学校側や企業側ではなくクラウド側へ送る。

ハブ — 受け取ったデータを全員に配る(旧式)

役割:複数のLANケーブルをまとめる中継機。受け取ったデータを 接続している全ての機器に転送 する単純な装置。宛先を判断しないため通信効率が悪く、現在ではほぼスイッチに置き換わっている

ハブ(リピータハブ) 宛先を見ず、全ポートへコピー 送信元 PC1 データを受信 PC1 PC2 PC3 PC4

ハブは宛先を判断せず、同じデータを全ポートへ広げるため、関係ない端末にも信号が届く。盗聴・解析されやすくセキュリティ面でも弱い。昔は安価だったが、現在はスイッチのほうが安く入手しやすく、ハブは割高になりやすい。

スイッチ — 必要な相手だけにデータを届ける

役割:ハブの上位互換。受け取ったデータの 宛先(MACアドレス) を見て、その機器が接続されたポートにだけ転送する。無駄な通信が減り、衝突も起きにくい。現在のLANの主役。

スイッチ(スイッチングハブ) 宛先PC3のポートだけへ転送 送信元 PC1 データを受信 PC1 PC2 PC3 PC4

スイッチは宛先の機器が接続されたポートだけに転送するため、LAN内の無駄な通信を減らせる。

アクセスポイント(AP) — Wi-Fiの入口

役割:無線(Wi-Fi)と有線LANを橋渡しする機器。スマホやノートPCはAPに無線で接続し、APがその先の有線LAN・ルータ経由でインターネットへつないでいる。家庭用ルータの多くはルータ機能とAP機能を1台に搭載している。

無線の端末を、有線のネットワークへ橋渡しする アクセスポイント スマホ ノートPC 有線LAN → インターネット

アクセスポイントは無線端末の入口になり、その先の有線LANやルータへ通信を橋渡しする。

家庭にある「Wi-Fiルータ」と呼ばれる箱は、実は ルータ+スイッチ+アクセスポイント の3役を1台で兼ねている統合機器であることがほとんどである。
情報Iで覚えることルータ:異なるネットワークをつなぎ宛先IPで経路を選ぶ/スイッチ:LAN内で必要な相手にだけ転送/ハブ:全員に配る旧式/AP:Wi-Fi の入口。

有線LAN(Ethernet)

有線LAN(Ethernet)は、LANケーブルで機器同士を直接つなぐ方式。家庭・学校・オフィスなど配線できる環境で、安定した通信に使われる。まず無線LAN(Wi-Fi)と比べたうえで、有線LANの中身(ケーブル・接続のかたち)を順に見ていく。

有線LAN(Ethernet)

LANケーブルで直接接続する。
・速度が 安定して速い
・電波の影響を受けない
盗聴されにくい(物理的に接続が必要)
・配線の手間あり、移動できない

無線LAN(Wi-Fi)

電波で接続する。
配線不要でどこでも使える
・スマホ・ノートPCに必須
・障害物や距離で速度が変動
・電波が届く範囲なら傍受の可能性あり → 暗号化が必須

LANケーブルと電気信号豆知識

LANケーブルのイメージ 中には、2本ずつより合わせた銅線が入っている 被覆をむいた部分 RJ45 RJ45 電圧の変化 = 0/1 0 1 0 1 1 0 1 銅線を通って進む

図の見方:一般的なLANケーブルは、外側の被覆の中に8本の銅線が入っており、2本ずつより合わせた4組のツイストペアになっている。両端のRJ45コネクタでPCやスイッチに接続し、銅線を通る電圧の変化として0/1のデータを送る。

つながる知識:中学校の理科で学ぶ電気回路は、LANケーブルの通信にも使われている。コンピュータは電気の変化を0と1として読み取り、データとして扱っている。文字・画像・音など、コンピュータが扱えるデータはすべて0/1のデータだったことともつながる。

項目意味
ケーブル構造 ツイストペアケーブル 銅線を2本ずつより合わせたペアで通信する。一般的なLANケーブルには8本の銅線(4ペア)が入っている。
信号の正体 電気信号 PCやスイッチなどの機器がケーブルで電気回路を作り、電圧の変化として0/1のデータを送る。
ねじる理由 ノイズ対策 2本の銅線をより合わせることで、外から入るノイズの影響を打ち消しやすくし、安定した通信にする。
ケーブルの種類 Cat5e, Cat6, Cat6A カテゴリが上がるほど高速通信に対応しやすい。家庭や学校ではCat5e以上がよく使われる。

有線LANの接続形態:スター型

各機器が中心のスイッチへ1本ずつつながる スター型 中心:スイッチ PC PC ルータ サーバ AP 端末同士を直接つなぐのではなく、中央の装置に集める

図の見方:現在の有線LANではスター型が基本。PC、サーバ、AP、ルータなどをスイッチに個別のLANケーブルで接続し、スイッチが通信の中継点になる。

ちょっと寄り道:スイッチを輪のようにつなぐとどうなる?豆知識

「念のためにケーブルを2本つないでおこう」とスイッチ同士を二重に接続すると、輪(ループ)の形ができる。すると同じデータがその輪の中をぐるぐる回り続け、ネットワーク全体が混雑して通信が止まることがある。

スイッチA スイッチB ケーブル1 ケーブル2 同じデータがぐるぐる回り続ける

図の見方:スイッチを2本のケーブルでそのまま結ぶと、データが輪の中を回り続けることがある。

豆知識:業務用のネットワークでは「スパニングツリー」というしくみが、こうしたループを自動で切ってくれる。詳しい話は標準編のEthernet回で扱う。

ルータ同士の接続:メッシュ型発展

ルータ同士のネットワークでは、複数のルータを網目状(メッシュ)につなぐことがある。ルータは状況に応じて経路を選べるため、ある回線が混雑したり使えなくなったりしたときに、別の経路へ回せるという利点がある。

メッシュ型 ルータが網目状につながり、複数の経路から選ぶ メッシュのイメージ LAN A クラウド 選ばれた経路 別の候補 ルータ B ルータ C ルータ F ルータ D ルータ E 太線:選ばれた経路 / 点線:別の候補 / 細線:ルータ間のつながり

図の見方:複数の経路が網目状につながり、ルータは宛先や状況に応じて経路を選ぶ。ある回線が使えないときは別の経路へ回せる。

かなり昔のEthernet:共有線につなぐバス型豆知識

かなり昔のEthernetでは、1本の共有ケーブルに「タップ」と呼ばれる装置で端末をぶら下げるバス型という方式が使われていた。線が1本で済む反面、ケーブルやタップが壊れると広い範囲に影響しやすい。現在の有線LANは、ほぼスター型に置き換わっている。

バス型 1本の共有ケーブルに、端末をぶら下げる 終端 終端 タップ PC PC サーバ

図の見方:1本の共有ケーブルにタップで端末をぶら下げる、昔の方式。両端には信号を吸収する「終端」が必要だった。

つながる知識:「みんなで1本の線を共有する」考え方は、今でもWi-Fiで電波を共有する話などにつながる。

情報Iで覚えること有線LAN(Ethernet)はLANケーブルで接続する方式で、現在は スイッチを中心とするスター型 が基本。速度が安定しやすい。

無線LAN(Wi-Fi)

無線LAN(Wi-Fi)は、ケーブルではなく電波で接続する方式。スマホやノートPCに欠かせない一方で、距離・障害物・混雑で速度が変わる、電波が周囲にも届くため暗号化が必須、といった特徴がある。

Wi-Fiは電波(電磁波)でデータを運ぶ

有線LANが銅線の中を流れる電気信号として0/1を送るのに対し、Wi-Fiは空中を飛ぶ電波(電磁波)に0/1をのせて送る。アクセスポイントが電波を出し、端末側のアンテナがそれを受け取って0/1のデータに戻す。

変調のイメージ:0/1ごとに波の形を変える AP 0/1 → 電波の波形 0 1 1 0 1 0 1 1 0は小さめ 1は大きめ・細かめ スマホ 受信して 0/1に戻す 0/1を波の変化として空間に送る

図の見方:APが電波を空間に放ち、端末はその電波を受け取って0/1のデータに復元する。電波は目に見えないが、光や音と同じく「波」の仲間。

つながる知識:中学校の理科で学ぶ「波」の話は、Wi-Fiの電波にも当てはまる。有線LANは「銅線を流れる電気の変化」、Wi-Fiは「空間を伝わる電波の変化」として、コンピュータが扱う0/1を運んでいる。

Wi-Fiの規格と暗号化発展

項目意味
通信規格 IEEE 802.11b/g/a/n(従来規格),
802.11ac, 802.11ax(Wi-Fi 6),
802.11be(Wi-Fi 7)
使う電波の周波数帯や通信方式を決めた規格。従来規格も端末との互換性などで今も使われることがある。理論上の最大速度は新しい規格ほど高くなることが多いが、実際の速度は距離・障害物・混雑・端末の対応で変わる。
暗号化方式 WPA2、WPA3 端末とアクセスポイントの間を飛ぶWi-Fi通信を暗号化する方式。WPA2/WPA3を使う。WEPは古く、安全でないため使わない。

Wi-Fiの周波数帯と届き方発展

周波数帯で、速さと届きやすさの得意分野が変わる AP 壁・障害物 端末 2.4GHz:届きやすい 5GHz:近距離で速い 6GHz:高速だが弱まりやすい 壁のまわりを回り込みやすい 壁で弱まりやすい 壁の先ではかなり弱い 新しいWi-Fiルータでも置き場所が大事 壁の裏・部屋の端・床置きでは速度が出にくい

図の見方:2.4GHz、5GHz、6GHzのように周波数帯が上がるほど、理論上は高速通信に向きやすい一方で、電波は直進性が強くなり、壁や障害物の影響を受けやすくなる。Wi-Fi 7など最新規格のルータでも、置き場所が悪いと速度が出にくい。

Wi-Fiの暗号化が守る範囲

鍵マークあり:電波の中身を読みにくくする 守る中心は、端末とAPの間を飛ぶ無線区間 暗号化される無線区間 スマホ AP インターネットへ APより先は別の区間 鍵マーク = 暗号化あり 近くの人 近くにいる人にも電波は届く でも暗号化ありなら、中身は読みにくい 8F#?... WEPは古い方式 安全でないため使わない

図の見方:鍵マークは「暗号化あり」の目印。Wi-Fiの電波は周囲にも届くが、WPA2/WPA3で暗号化されていれば中身は読みにくくなる。Wi-Fi暗号化が主に守るのは、端末とアクセスポイントの間の無線区間。

暗号化されていない(鍵マークのない)Wi-Fi に接続すると、通信内容を周囲の他人に読み取られるおそれがある。公衆Wi-Fi利用時は、鍵マークを確認し、個人情報やパスワードの入力は慎重にする など追加の対策が必要。
つながる知識:Wi-Fi の鍵マーク(暗号化)は、端末とアクセスポイントの間を飛ぶ電波を読みにくくする目印。公衆Wi-Fiではそれだけで安心しきらず、個人情報やパスワードを入力する場面では画面表示や利用先をよく確認する。
公衆Wi-Fiでは、鍵なしスポットで重要情報を送らない 同じ場所にいる人にも電波が届くため、使う前に確認する 避けたい例:鍵なし Free Wi-Fi 電波の届く範囲 Free Wi-Fi 自分のPC ID・パスワード ID? のぞき見 盗聴者 鍵なしでは見られるおそれ 使う前に確認 1 鍵マークのあるWi-Fi 2 Wi-Fi名が正しいか よく確認 3 個人情報・パスワード 入力は慎重に

図の見方:鍵マークのない公衆Wi-Fiでは、同じ場所にいる盗聴者にも電波が届き、入力した情報を見られるおそれがある。鍵マークのあるWi-Fiを選び、Wi-Fi名を確認し、個人情報やパスワードの入力は慎重に行う。

情報Iで覚えることWi-Fi(無線LAN)は電波で接続する方式で、暗号化された(鍵マークのある)Wi-Fi を選ぶ。鍵マークは端末↔APの電波区間を読みにくくする目印で、公衆Wi-Fiでは重要な操作を慎重に行う。

ISP ― インターネットへの接続

家庭や会社のLANは、自力でインターネット全体に接続できるわけではない。ISP(Internet Service Provider, インターネットサービスプロバイダ) という事業者と契約することで、はじめてインターネットに参加できる。

ISP:契約者を自社の通信網に接続し、その先のインターネット全体への通り道を提供する事業者。
例:OCN、So-net、BIGLOBE、IIJ、ぷらら、auひかり など。
豆知識:回線事業者が全部まとめて提供すればよさそうに見えるが、物理的な回線を整備する役割と、インターネットへの接続サービスを提供する役割は別物として扱われることが多い。分けておくと、同じ光回線の上で複数のISPから選べるため、料金やサービスの競争も起きやすい。最近はセット契約も多く、利用者からは一体に見える場合がある。
家庭LAN 家庭ルータ ONU / モデム 宅内機器 回線事業者 NTT・KDDIなど 光回線の網 ISP プロバイダ 上位ISP / 他のISP 契約先のISP OCN・So-netなど インターネットへ 家庭からインターネットまでの接続経路 家庭LAN → ONU → 回線事業者 → ISP → インターネット

家庭内LANから先は、ONU/モデムなどの宅内機器、物理的なアクセス回線、ISPの接続サービスを通って、他のISPやインターネット全体へ到達する。

つながる知識:実際の家庭回線では、家庭ルータと回線事業者の網との間に ONU(光回線終端装置)や ケーブルモデム、これらを兼ねる ホームゲートウェイ といった機器がある。流れにすると 端末 → 家庭ルータ → ONU/モデム → 回線事業者の網 → ISP → インターネット となる。家庭ルータが ONU 一体型になっている場合もある。

回線事業者と ISP の違い

事業者の種類提供するもの
回線事業者 家までの物理的な通信線路(光ファイバ等) NTT東日本/西日本(フレッツ光)、KDDI、ケーブルTV
ISP(プロバイダ) その回線を使ってインターネットに接続する権利と関連サービス OCN、So-net、BIGLOBE、ぷらら、IIJ
最近は「auひかり」「ドコモ光」のように、回線事業者とISPがセットで提供される契約が増えており、利用者からは違いが見えにくくなっている。スマホの4G/5G接続も、キャリアが回線事業者とISPの両方の役割を担っている。
情報Iで覚えることインターネットへの接続には 回線(物理的な線路)ISP(接続サービス) の両方が必要。固定回線では別契約のことも、モバイル・セット契約ではキャリアが両方を担うことも多い。

伝送速度(bps)

ネットワークの「速さ」は 1秒あたりに送れるビット数 で表す。単位は bps(bits per second)。

1 bps = 1秒に1ビット(0または1を1個)送れる速度。
実際のネットワークは桁が大きいので、k/M/G を付けて表現する。

同じ1秒で比べる

bps は「1秒間に何ビット送れるか」を表す 時間の幅は同じ。中に入る 0 / 1 の数が多いほど高速。 同じ 1 秒 低速 例:1秒に4 bit 0 1 0 1 すき間が大きい 中速 例:1秒に8 bit 0 1 1 0 1 0 0 1 より多く送れる 高速 例:1秒に16 bit 0 1 1 0 1 0 0 1 1 1 0 1 0 1 1 0 同じ1秒でたくさん送れる

図の見方:bpsは「1秒あたりに送れるビット数」。時間を同じ1秒でそろえると、低速は少しの0/1しか送れず、高速は同じ時間の中に多くの0/1を詰めて送れる。

表記意味1秒あたりのビット数
1 kbpsキロ bps1,000 bit
1 Mbpsメガ bps1,000,000 bit(100万)
1 Gbpsギガ bps1,000,000,000 bit(10億)

身近な目安

用途必要な速度の目安
Webページ閲覧、メール数 Mbps もあれば十分
動画視聴(HD)5 Mbps 程度
動画視聴(4K)25 Mbps 程度
家庭の光回線(公称)1 Gbps 程度
5Gスマホ(規格上のピーク)下り20 Gbps 級/実利用は数百Mbps〜数Gbps程度
ビット(bit, b)バイト(byte, B) は別物。1 byte = 8 bit。
ファイルサイズは「MB(メガバイト)」で表すことが多いが、通信速度は「Mbps(メガビット毎秒)」で表す。1 MB のデータを 1 Mbps の回線で送ると約 8 秒かかる(8 bit = 1 byte なので8倍)。
情報Iで覚えること通信速度は bps(1秒あたりに送れるビット数)で表す。ファイルサイズの byte(B) とは別単位で、1 byte = 8 bit

まとめと用語チェック

SUMMARY 1. インターネットは 「ネットワークのネットワーク」
2. 規模で LAN(狭い)WAN(広い) に分類される
3. ネットワーク機器:ルータ(網と網を結ぶ)/ハブ(全員に配る)/スイッチ(宛先に届ける)/AP(Wi-Fiの入口)
4. 有線LAN は速く安定/Wi-Fi は便利だが暗号化が重要
5. 多くの固定回線では、インターネットへの接続に 回線事業者 + ISP の契約が必要(モバイル回線やセット契約は事業者が両方の役割を担うことが多い)
6. 速度の単位は bps。bit と byte の違い(1 byte = 8 bit)に注意

用語チェック

用語1行説明
LAN家庭・学校など狭い範囲のネットワーク
WAN離れたLAN同士を結ぶ広域ネットワーク
ルータ異なるネットワーク同士をつなぐ機器
ハブ受信したデータを全ポートに配る古い中継機
スイッチ宛先を見て必要なポートにだけ転送する中継機
アクセスポイント(AP)Wi-Fiの電波と有線LANを橋渡しする機器
有線LAN(Ethernet)LANケーブルで接続する方式。速度が安定
Wi-Fi(無線LAN)電波で接続する方式。配線不要だが暗号化必須
WPA2 / WPA3Wi-Fi通信を保護する暗号化方式
ISP(プロバイダ)インターネット接続サービスを提供する事業者
回線事業者家までの物理的な通信回線を提供する事業者
bps1秒あたりに送れるビット数(通信速度の単位)
NEXT: 次回(第2回)は、データが実際にどのように運ばれるかを扱う。インターネットが採用している「パケット交換方式」と、従来の電話で使われていた「回線交換方式」を比較しながら、その特徴を理解する。

確認問題

問1. LAN と WAN の説明として正しいものを1つ選べ。

次の選択肢から最も適切なものを選択してください。
A. LAN は世界中をカバーするネットワークで、WAN は校内のネットワークを指す
B. LAN は家庭や学校など狭い範囲、WAN は地理的に離れたLAN同士を結ぶ広域ネットワーク
C. LAN は無線通信専用、WAN は有線通信専用のネットワークを指す
D. LAN は通信事業者だけが運営でき、WAN は誰でも自由に作れる
正解:B
LAN(Local Area Network)は家庭・学校・オフィスなど狭い範囲のネットワーク、WAN(Wide Area Network)はそれらを結ぶ広域ネットワークである。LANは多くの場合、利用者自身か小規模な組織が管理するが、WANは通信事業者が回線を提供する。

問2. 次のうち「ルータ」の説明として最も適切なものはどれか。

次の選択肢から最も適切なものを選択してください。
A. 同一LAN内で、宛先に関わらず受信したデータを全ポートに配る機器
B. 無線(Wi-Fi)の電波と有線LANを橋渡しする機器
C. 異なるネットワーク同士を接続し、宛先に応じて転送する経路を決める機器
D. 電話線を使ってインターネットに接続するためのアナログ機器
正解:C
ルータは「異なるネットワークを相互接続する」装置であり、宛先IPアドレスに応じてどの経路に転送するかを判断する。Aはハブ、Bはアクセスポイントの説明である。

問3. ハブとスイッチの違いとして正しいものを1つ選べ。

次の選択肢から最も適切なものを選択してください。
A. ハブは無線、スイッチは有線で動作する
B. ハブは家庭用、スイッチは企業用と用途が決まっている
C. ハブはインターネット接続専用、スイッチはLAN内専用で逆の用途に使えない
D. ハブは受け取ったデータを全ポートに配るが、スイッチは宛先のポートにだけ転送する
正解:D
ハブは受信したデータをすべての接続先に流す単純な装置で、宛先を見て判断する機能がない。スイッチは宛先(MACアドレス)を見て必要なポートにのみ転送するため、無駄な通信が発生せず効率的である。現在のLANではほぼスイッチが使われている。

問4. ISP(インターネットサービスプロバイダ)に関する記述として正しいものを1つ選べ。

次の選択肢から最も適切なものを選択してください。
A. 利用者を自社の通信網に接続し、インターネット全体への接続を提供する事業者
B. 各家庭まで光ファイバ等の物理回線を敷設・提供する事業者
C. 世界共通のIPアドレスを管理する国際機関
D. インターネット上で商品を販売する小売業者の総称
正解:A
ISPは契約者にインターネット接続サービスを提供する事業者(OCN、So-net など)。Bは「回線事業者」(NTT東西、KDDI など)の説明で、両者は本来別の役割である。最近は両方をセットで提供する契約も多い。

問5. 通信速度「100 Mbps」の説明として正しいものを1つ選べ。

次の選択肢から最も適切なものを選択してください。
A. 1秒間に100メガバイトのデータを送れる
B. 1分間に100ビットのデータを送れる
C. 1秒間に1億ビット(100,000,000 bit)のデータを送れる
D. 100台のパソコンを同時にインターネットへ接続できる
正解:C
bps は「bits per second(1秒あたりのビット数)」を表す。M(メガ)は100万倍なので、100 Mbps = 1秒あたり1億ビット。1バイトは8ビットなので、100 Mbps を「メガバイト毎秒」に換算すると 12.5 MB/s となり、Aの「100メガバイト」とは一致しない。

問6. 一般的な家庭で、PC やスマホがインターネットを使うときの構成として最も適切なものを1つ選べ。

次の選択肢から最も適切なものを選択してください。
A. 各端末は、それぞれが直接 ISP の基幹ルータに LAN ケーブルで接続されている
B. PC・スマホ → 家庭ルータ(Wi-Fi/有線) → ONU や モデム → 回線事業者の網 → ISP → インターネット
C. スマホは Wi-Fi、PC は専用回線でつながり、両者は別ルートで独立にインターネットへ接続する
D. 家庭で Wi-Fi が使えれば、ルータも回線事業者も介さず直接インターネットに接続できる
正解:B
家庭の典型的な構成は、PC やスマホが家庭ルータに接続し(Wi-Fi または有線)、そこから ONU(光回線終端装置)や ケーブルモデム を経由して、回線事業者の網と ISP を通ってインターネットに到達する。家庭ルータと ONU が一体になった「ホームゲートウェイ」を使う場合もある。
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第2回 パケット交換と通信の流れ