00 学習目標
01 IPアドレスとは
02 IPv4 の表記
03 IPv6 のひとこと
04 ドメイン名
05 名前→IPの流れ
06 グローバルとプライベート
07 まとめと用語
08 確認問題
学習目標
本講を終えると、以下の問いに答えられるようになります。
IPアドレス がインターネット上で何の役割をしているかを「住所」のたとえで説明できる
IPv4 アドレスの表記(192.168.1.10 のような形)を読み取れる
IPv4 にはアドレスの数に限りがあり、IPv6 という新しい仕組みがあることを知っている
ドメイン名 (例: www.example.com ) の構造を、トップレベル/セカンドレベルに分けて説明できる
ブラウザに名前を入れてから接続するまでに DNS がIPアドレスを調べてくれる流れをイメージできる
グローバルIP と プライベートIP のちがい(家の外と中)を説明できる
このレッスンの目次
IPアドレスとは何か
インターネットには、世界中のパソコン・スマホ・サーバ・家電がつながっています。あなたが見ている動画や開いているWebページは、地球の裏側のサーバから届いていることもあります。では、ネットは どうやって相手を見分けて いるのでしょうか?その答えが IPアドレス です。
POINT
IPアドレスは、ネットワーク上のコンピュータを見分けるための 「ネット上の住所」 。手紙に住所を書かないと届かないように、データを送るときも宛先のIPアドレスがないと届きません。
身近なたとえ:郵便の住所
家に手紙を送ってもらうとき、相手は「東京都〇〇区××3-4-5」のような住所を書きますね。インターネットでも同じです。あなたのパソコンには 192.168.1.10 のような番号が割り当てられていて、そこ宛にデータが届きます。
図の見方:左は現実世界の郵便、右はネット上のデータ配送。形は違っても、「宛先がはっきりしているからこそ届く」 という構造はまったく同じ。IPアドレスはネット世界の住所だと考えると、感覚がつかめる。
IPアドレスは「機器」ではなく「インタフェース」に付く
厳密には、IPアドレスは「パソコン1台」に対して付くというより、 ネットワークにつながる口(インタフェース) ごとに付きます。たとえばノートPCを 有線LAN と Wi-Fi の両方 でつないでいるときは、それぞれに別のIPアドレスが付きます。ルータのように複数のネットワークをつなぐ機械だと、なおさら口ごとに違うIPを持っています。
有線NIC
LANケーブルを差すRJ45ポートが、ネットワークにつながる口になる。
無線NIC
Wi-Fi用の無線回路とアンテナが、ネットワークにつながる口になる。
図の見方:左は 有線LAN用NIC 、右は 無線LAN用NIC 。形は違っても、どちらも「ネットワークにつながる口(インタフェース) 」です。IPアドレスはこの口ごと に割り当てられます。ノートPCで有線LANとWi-Fiの両方を使っているときは、有線NICと無線NICの 2つの口 が独立に存在し、それぞれに違うIPアドレスが付きます。
もっと詳しく:MACアドレスとは何が違うの?
パソコンの設定画面に MACアドレス (aa:bb:cc:11:22:33 のような形) という別の番号が出てきて、IPアドレスと混乱することがあります。役割を一言で分けると次の通りです。
MACアドレス :工場で機器(正確には NIC=ネットワークの口)に焼き付けられている 世界で固有の名札 。基本的に変わらない
IPアドレス :あなたが今 どのネットワークにいるか を表す住所。引っ越せば変わる
たとえるなら、MACアドレスは「あなた本人のマイナンバー」、IPアドレスは「いま住んでいる家の住所」のようなもの。両方が組み合わさって、世界規模で正確に届くようになっています。詳しくは 標準 編の「リンク層」回で扱います。
考えてみよう: 友達に手紙を出すとき、住所だけでなく「〇〇さん」と名前も書きますね。ネットでも同じで、IPアドレスは「家まで」運ぶための住所。家の中のどの人(=どのアプリ)宛かは、また別の番号(ポート番号 )で見分けています。これは 標準 編で出てきます。
情報Iで覚えること IPアドレス はネットワーク上のコンピュータを識別する 「ネット上の住所」 。データを届けるには宛先IPアドレスが必要。
IPv4 アドレスの表記
現在、世界でいちばん広く使われているIPアドレスは IPv4 (IP version 4) と呼ばれるものです。0~255 の数字を「.」(ドット) で4つつなげた 形をしています。192.168.1.10 、133.71.240.3 、8.8.8.8 のように。
POINT
IPv4 アドレスは 「0~255 の数字を4つ、ドットで区切った形」 。なぜ 255 までかというと、各部分が 8桁の0と1(=8ビット) で表されているから。8ビットで表せる数は 0~255 まで。
数字とビットの関係
コンピュータの中では、IPアドレスは 32個の0と1 (32ビット) として扱われています。これを人間が読みやすいように 8個ずつ4つに区切って、それぞれを10進数に直した ものが、いつも目にする「192.168.1.10 」のような表記です。
図の見方:中身は0と1の列(32ビット)。8ビットずつ4つに区切って、それぞれを10進数で書いたものが、いつも目にする 192.168.1.10 のような表記。8ビットで表せる数は 28 =256 通りなので、各区画は 0~255 までになる。
もっと詳しく:なぜドットで区切るの?
32ビットを 「11000000101010000000000100001010」 のように一気に書いてもいいのですが、長すぎて人間には読めません。そこで 8ビット(=1バイト) ごとに区切って、よく見慣れた10進数に直す という工夫が使われています。
区切る数字は4つで、ドットでつなぐ。これを ドット区切り10進表記 (dotted decimal notation) と呼びます。「255より大きい数(例: 300)を見たらIPアドレスではない」と気づけるのは、この決まりがあるからです。
IPv4 はもう足りない
IPv4 で表せるアドレスの総数は 232 = 約43億個 。1980年代に決められたときは「未来永劫足りる」と思われていましたが、世界中のスマホ・PC・家電がネットにつながる時代では、すでに 枯渇 (足りなくなる) しています。
では、足りないままどうやってネットが回っているのでしょう?ざっくり言うと、家庭や会社の中だけで使う「プライベートアドレス」 をうまく使い回すことで凌いでいます。詳しい仕組みは下の「グローバルIPとプライベートIP 」で説明します。あわせて、根本的な解決として作られたのが次節の IPv6 です。
小問:IPv4 で表せるアドレス数(約43億個)は、世界の人口(約80億人)より多いでしょうか少ないでしょうか?
A. 多い(人類1人あたり何個も持てる)
B. 少ない(1人1個も持てない)
C. ぴったり同じ数になるよう設計されている
正解: B 。世界の人口(約80億)に対して、IPv4 アドレスは約43億個しかありません。1人1個ずつ配ることすらできない 数です。しかも今は1人で何台もネット機器を持っているので、なおさら足りません。だから IPv6 や、後で出てくる プライベートIP/NAT という工夫で乗り切っています。
情報Iで覚えること IPv4 は 32ビット のアドレスを 0~255 の10進数4つをドットで区切って 表記する(例: 192.168.1.10 )。総数は約43億個で枯渇している。
参考:IPv6 のアドレスはどんな見た目?
IPv4 の枯渇に備えて作られたのが IPv6 (IP version 6) です。基礎では 「アドレスがすごく長くなった」 ということだけ知っていれば十分。中身の細かいルール(省略表記やサブネット規則)は 標準 編で扱います。
IPv4(現役)
IPv4 のアドレスは 32ビット 。ドットで区切った10進数4つで書きます。
192.168.1.10
各区画は 0~255 の整数
表せる総数は 232 ≒ 約43億個
世界中のほとんどのネット通信は今もこの形が使われている
IPv6(新しい方式)
IPv6 のアドレスは 128ビット 。コロン「:」で区切った16進数で書きます。
2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334
区切りは「:」で、16進数(0~9 と a~f)を使う
長いので、連続する 0 を「::」と省略して書ける(例: 2001:db8:85a3::8a2e:370:7334 )
表せる総数は 2128 。非常に多く 、事実上足りなくなる心配はない
家庭のWi-Fiや学校のネットでも、最近は IPv4 と IPv6 が両方 使われていることが多くなっています(両方使えるホストを デュアルスタック と呼びます)。
数で比べる
IPv4 IPv6
長さ 32ビット 128ビット
表記 10進数を「.」で4つ 16進数を「:」で8つ
アドレス総数 約 4.3 × 109 (43億) 約 3.4 × 1038
具体例 192.168.1.10 2001:db8::1
普及状況 世界中で現役 普及中(大手スマホキャリア・大手サービスはほぼ対応)
IPv6 のアドレス数 3.4 × 1038 は 非常に多い 数で、事実上 「足りなくなる心配はない」 設計になっている。
考えてみよう: 「アドレスが足りない」と聞くと不思議な感じがしますね。実際には2つの工夫で乗り切っています。1つは IPv6 という根本的な解決、もう1つは次のセクションで出てくる プライベートIP (家の中だけで使うアドレス) という工夫。両方のおかげで今もネットは使えています。
情報Iで覚えること IPv6 は 128ビット のアドレスをコロン区切りの16進数で書く(例: 2001:db8::1 )。IPv4 の枯渇に備えた方式で、表せる数が桁違いに多い。
ドメイン名:覚えやすい名前の方
IPアドレスはコンピュータには都合が良くても、人間には覚えにくいものです。142.250.196.110 と聞いて「あ、Googleだね」と分かる人はまずいません。そこで 人間用に「覚えやすい名前」 として用意されているのが ドメイン名(domain name) です。
POINT
ドメイン名 = 人間が覚えやすい「ネットの表札」 。www.example.com のように、ドット「.」 で区切られた名前。コンピュータ自身は IPアドレス で動くが、ユーザに見せるのはドメイン名で済むようにしている。
ドメイン名の中身を分解する
たとえば www.example.com は、よく見ると3つの部分に分かれています。右から 読んでいくのがコツです。
図の見方:ドメイン名は 右から左に 「大きい範囲 → 小さい範囲」 と読む。一番右の .com や .jp は「トップレベルドメイン」。その左側に組織名、さらに左に www や mail のような部署名が来るイメージ。住所で言えば「国 → 都道府県 → 市区町村」と狭まっていくのと同じ。
トップレベルドメインの種類
右端の .com / .jp / .org のような部分を トップレベルドメイン(TLD) と呼びます。意味のあるグループ分けがされています。
TLD の例 もとの意味 主な用途
.com commercial 商用(誰でも取得可)
.org organization 非営利団体が多い
.net network ネット関連が多い
.edu education 主にアメリカの教育機関
.gov government 主にアメリカの政府機関
.jp Japan 日本の組織・個人
.co.jp / .ac.jp / .go.jp (日本の細分化) 会社/学術機関/政府機関
もっと詳しく:ドメイン名は誰がつけているの?
ドメイン名は世界規模で かぶらない ように管理されている必要があります。中心となっているのは ICANN (アイキャン) という国際的な組織で、その下に各 TLD を担当する レジストリ (.jp なら JPRS) があり、さらに利用者と契約する レジストラ (お名前.com、Google Domains など) を経由して、私たち個人や企業がドメイン名を 取得・更新 する、という階層になっています。
ですから、空いているドメイン名は誰でもお金を払えば取得できますが、すでに誰かが使っているドメイン名は取れません。ドメイン名の 所有権 は使用料を払い続ける限り維持されます。
考えてみよう: 学校や会社のWebサイトのドメイン名を見ると、その組織のことが分かります。たとえば u-tokyo.ac.jp (東京大学) は「ac.jp = 日本の学術機関」、city.kyoto.lg.jp (京都市役所) は「lg.jp = 日本の地方自治体」のように、TLD の組み立て方に意味がある。身近なサイトのURLを見て、構造を読んでみよう。
情報Iで覚えること ドメイン名 は人間が覚えやすい「ネットの表札」。右から左へ 大きい範囲 → 小さい範囲(.com → example → www)と読み、右端の .com / .jp などを トップレベルドメイン(TLD) と呼ぶ。
名前から IP へ:つなぎの流れ
人間はドメイン名で覚え、コンピュータは IPアドレス で動く。この2つを
つなぐ仕組み が必要です。それが
DNS (Domain Name System) と呼ばれるサービス。本講のスコープは
「名前→IPに変換する仕組みが存在する」 ところまで。
DNSの階層構造や解決手順といった詳しい仕組みは 第5回(DNS:名前解決のしくみ) で扱うので、ここでは深入りしません。
POINT
ブラウザに www.example.com と入れたとき、実際に通信が始まるまでに 「名前 → IPアドレスに変換する」 ステップが入る。これを 名前解決(name resolution) と言い、DNS がその役目を担う。
ステップを追ってみる
「ブラウザのアドレスバーに http://example.com と入れて Enter キーを押した瞬間」、いったい何が起きているのでしょうか。5つのステップに分けて見ていきます。前/次のボタンで進めてみてください。
ステップ1. あなたがブラウザに http://example.com と入力。ここで使っているのは 名前(ドメイン名) です。ブラウザはまだIPアドレスを知りません。
ステップ2. ブラウザは DNSサーバ に「example.com の IP を教えて」と問い合わせます。これを DNS問い合わせ(DNSクエリ) と呼びます。DNSサーバは「ドメイン名 → IPアドレス」の巨大な辞書のような役割を持つ存在です。
ステップ3. DNSサーバから「93.184.216.34 です」のように IPアドレスが返ってきます 。ようやくブラウザは「example.com の住所」を手に入れます。
ステップ4. ブラウザは取得した IP 93.184.216.34 宛に HTTP でページを要求 します。
ステップ5. Webサーバから HTML などページの中身が返ってきて、画面にページが表示されます。ここでようやく「Webを開いた」状態になります。
◀ 戻る
次へ ▶
⟳ 最初に戻る
1 / 5
図の見方:あなたが見ているのは「名前を入れたらページが開く」だけ。でも裏では、まず DNSに問い合わせて IP を取得し、そのあとWebサーバへ要求して応答を受け取る という流れが走っている。普段は一瞬なので意識しないが、ネットの動きを支える大事な裏方。
Q. もしIPアドレスがバラバラに変わってしまうと、何が困りそうでしょうか?自分なりに考えてからクリック。
解答を見る
同じ example.com でも、人によって違うサーバに飛ばされてしまう
毎回「今のIPは?」と確認しないとつながらず、通信に時間がかかる
IPが古いままだと、引っ越したサイトにつながらない (リンク切れ)
悪意ある人が「自分のサーバのIP」を返したら、偽サイトに誘導 されてしまう
だから DNS は「正しい・最新の・信頼できる」答えを返す必要があり、世界中の DNSサーバが連携してこの仕事をしています(その仕組みは次回くわしく!)。
つながる知識: DNS は名前を IP に変える「電話帳」のような存在。第5回(dns-overview-l1.html ) では、その電話帳が 世界規模でどう運営されているか (階層構造・キャッシュ・名前解決の手順) を詳しく学びます。本講では「名前と IP は別物で、DNS が橋渡ししている」と理解できれば十分で、仕組みの詳細は第5回に委ねます 。
情報Iで覚えること DNS は ドメイン名 → IPアドレス を変換するしくみで、この変換を 名前解決 と呼ぶ。Webアクセスの際、ブラウザはまず DNS で IP を調べてからサーバに接続している。
グローバルIPとプライベートIP:家の外と中
家にあるパソコンの IP を見ると
192.168.1.10 のような番号、ブラウザで「
my ip 」と検索したときに出てくる番号は
203.0.113.5 のような違う番号。
同じパソコンなのに2種類の番号 があるのは、なぜでしょうか?
POINT
インターネット全体で使う公開の住所が グローバルIPアドレス 。家やオフィスの中だけで使う非公開の住所が プライベートIPアドレス 。家の 外 から見える顔と、家の 中 での顔は別、と覚える。
図でイメージする
図の見方:家の中の PC やスマホには 192.168.x.x のような プライベートIP が割り当てられている。これは家の中だけの番号で、隣の家でも同じ番号を使っていてOK。家全体の 外向きの顔 は ホームルータが持つグローバルIP (例: 203.0.113.5) で、これが世界中で唯一の住所。インターネットから見えるのはこのルータの番号だけ。
2種類の住所を比べる
グローバルIPアドレス
「世界で唯一の公開住所」
・インターネット上で かぶってはいけない
・ISP(プロバイダ) から1個ずつ割り振られる
・サーバが世界に公開されるときに必須
・例: 203.0.113.5 、8.8.8.8
プライベートIPアドレス
「家(LAN)の中だけで通用する住所」
・家庭・学校・会社の中で 自由に使ってよい
・隣の家と かぶっても問題ない
・インターネットには直接出ない(ルータが代理して翻訳)
・例: 192.168.0.1 、10.0.0.5
プライベートIPに使えるアドレスの範囲は決まっています(10.0.0.0/8 、172.16.0.0/12 、192.168.0.0/16 )。家庭のWi-Fiルータでは 192.168.x.x がよく使われます。
外と中の番号はどう「翻訳」される?
家の中のスマホ(192.168.1.11 ) から世界のWebサーバへアクセスするとき、ホームルータが 送信元のIPアドレスを書き換えて 自分のグローバルIP(例: 203.0.113.5 ) に置き換え、外のインターネットに送り出します。返事が戻ってきたら、ルータがまた書き換えて元のスマホに渡します。この変換のしくみを NAT (Network Address Translation) と呼び、家庭用ルータには標準で入っています。本講ではこの「外向きのIPに翻訳してくれる」イメージだけ押さえればOKです。
発展 実際の家庭用ルータでは、複数の機器が同時にネットを使えるよう、IPアドレスだけでなく ポート番号 も書き換えて区別する NAPT(IPマスカレード) という方式が使われています。通信の向き(内→外/外→内)による違いや、戻りパケットの照合などの細かな仕組みは 標準 編で扱います。
小問:あなたの家のPCのIPアドレス(192.168.1.10 など)と、外から見えるIPアドレスは 同じ でしょうか?
A. 必ず同じ。1つの機器には1つのIPしかない
B. 違う。中はプライベートIP、外向きはルータのグローバルIP
C. 違うが、運がよければ偶然一致することもある
正解: B 。家の中ではプライベートIPで動いていて、外のインターネットから見えるのは ルータのグローバルIP 。違う番号です。これが「my ip 」を検索したときに、PCのIPと違う番号が出てくる理由。なお A は「1機器=1IP」とは限らないので誤り(有線とWi-Fiで別、というケースもある)。C はNATの仕組み上「偶然一致する」ことはありません。
もっと詳しく:なぜプライベートIPが必要なの?
IPv4 のアドレスが約43億個しかなかったことを思い出してください。世界中の家庭のPC・スマホ・テレビ・冷蔵庫すべてに 1台ずつグローバルIP を割り当てたら、確実に足りなくなります。そこで「家の中はプライベートIPで済ませて、外向きの顔はルータのグローバルIP1個だけ」とすることで、1家庭=1個 の節約ができるようになりました。これが世界規模で実施されたことで、いまも IPv4 が現役で使えています。
考えてみよう: 学校のPCルームや会社のオフィスでも、たいてい 192.168.x.x や 10.x.x.x のプライベートIPが使われている。あなたの自宅のWi-Fi設定画面を見てみると、ルータのIP(例: 192.168.1.1) や接続している機器のIPが確認できるはず。ぜひ一度のぞいてみよう。
情報Iで覚えること グローバルIP は世界で唯一の公開アドレス、プライベートIP は家やオフィスの中だけで使うアドレス。ルータの NAT が両者を翻訳して橋渡しする。
まとめと用語チェック
SUMMARY
1. IPアドレス = ネット上の住所。データを正しい相手に届けるためのコンピュータ用の番号
2. IPv4 は 32ビット 、ドット区切り10進数で書く(例: 192.168.1.10 )。総数は約43億個で枯渇している
3. IPv6 は 128ビット 、コロン区切り16進数。表せる数が桁違いに多い
4. ドメイン名 = 人間が覚えやすい名前。右から 大きい範囲 → 小さい範囲(.com → example → www)と読む
5. DNS がドメイン名 → IPアドレスの変換(名前解決 ) を担当する
6. グローバルIP (世界で唯一・公開) と プライベートIP (家の中だけ) の2種類があり、ルータの NAT が橋渡しする
用語チェック
用語 1行説明
IPアドレス インターネット上のコンピュータを見分けるための番号。ネット上の住所
IPv4 32ビットのIPアドレス。ドット区切り10進数で表記。例: 192.168.1.10
IPv6 128ビットのIPアドレス。コロン区切り16進数。アドレス数が桁違いに多い
ドット区切り10進表記 IPv4 を 0~255 の数字4つでつなぐ書き方
ドメイン名 人間用の覚えやすい名前。例: www.example.com
トップレベルドメイン(TLD) ドメイン名の一番右の部分。例: .com / .jp / .org
セカンドレベルドメイン TLD の左にある、組織や個人で取得した名前(example など)
サブドメイン セカンドレベルの左側に付く部分(www / mail / blog など)
名前解決 ドメイン名から対応するIPアドレスを調べる処理
DNS 名前解決を担当するインターネットの仕組み(次回くわしく)
グローバルIPアドレス インターネット上で世界に1つだけの公開住所
プライベートIPアドレス 家やオフィスの中だけで使う非公開の住所
NAT プライベートIPとグローバルIPを翻訳するルータの機能
MACアドレス 機器(NIC)に焼き付けられた固有の名札。IPアドレスとは別物
NEXT: 次回(第5回)は、本講で「裏方」として登場した DNS をくわしく見ます。世界中のDNSサーバがどう連携してドメイン名→IPアドレスの変換を実現しているのか、その階層構造とキャッシュの役割を学びます。
確認問題
問1. IPアドレスの説明として最も適切なものを1つ選べ。
次の選択肢から最も適切なものを選択してください。
A. パソコンのCPUの製造番号のこと
B. インターネット回線の物理的な太さ(bps)のこと
C. ネットワーク上のコンピュータを見分けるための番号(ネット上の住所)
D. ドメイン名を保存するためのファイル形式
正解:C
IPアドレスは「ネット上の住所」と表現されることが多く、データの宛先として使われる番号。Aはハードウェアの話、Bは通信速度の話、Dは別概念で、いずれもIPアドレスの説明にはならない。
問2. 次のうち、IPv4 アドレスとして正しい形式 のものを1つ選べ。
次の選択肢から最も適切なものを選択してください。
A. 192.300.1.10
B. 192.168.1.10
C. 192:168:1:10
D. example.com
正解:B
IPv4 は「0~255 の数字4つをドットでつないだ形」。Aは「300」が範囲外(8ビットでは0~255まで)。Cはコロン区切りでIPv6風だが桁数が足りていない。Dはドメイン名であって、IPアドレスではない。
問3. ドメイン名 www.example.com の トップレベルドメイン(TLD) は次のどれか。
次の選択肢から最も適切なものを選択してください。
A. www
B. example
C. example.com
D. com
正解:D
ドメイン名は 右から 「大きい範囲 → 小さい範囲」と読む。一番右の com が TLD(トップレベルドメイン)、その左の example がセカンドレベルドメイン、さらに左の www がサブドメイン。
問4. ブラウザに http://example.com と入力してから接続が始まるまでの流れとして、正しいものを1つ選べ。
次の選択肢から最も適切なものを選択してください。
A. DNSにドメイン名→IPの変換を問い合わせ、得られたIP宛にHTTPで接続する
B. ブラウザはドメイン名のままサーバに直接接続できるので、DNSは不要
C. ドメイン名はサーバ側で勝手にIPに直してくれるので、ブラウザは何もしない
D. すべてのサーバは固定のIPアドレスをブラウザに広告しているので、変換処理は発生しない
正解:A
コンピュータ同士の実際の通信は IPアドレスで行われるため、ドメイン名はまず DNS で IPに変換する必要がある。これを名前解決という。Bはコンピュータがドメイン名を直接扱えると誤解している。Cは順序が逆(変換は送信側で行う)。Dも誤りで、各サーバのIPはDNSという仕組みで世界に公開されている。
問5. 自宅のPCのIPアドレスが 192.168.1.10 だったとき、外のインターネットから見えるIPアドレスについて正しく述べているものを1つ選べ。
次の選択肢から最も適切なものを選択してください。
A. 同じく 192.168.1.10 として外からも見える
B. 外からは何のIPも見えず、まったく通信できない
C. 外からはホームルータが持つ グローバルIPアドレス として見える(別の番号)
D. 隣の家のPCのIPアドレスとして見える
正解:C
192.168.1.10 はプライベートIPアドレスで、家の中だけで通用する番号。外のインターネットから見えるのは ホームルータのグローバルIP (例: 203.0.113.5) で、ルータの NAT が翻訳して家じゅうの機器の通信を1つのグローバルIPに集約している。Aはプライベート/グローバルの区別ができていない、Bは誤り(NAT経由で通信できる)、Dも誤り(他人のIPと混ざることはない)。